私たちは、がん患者さんを取りまく厳しい社会環境を改善することを目的とした組織です。

特定非営利法人ヘルスケアサポートセンター 理事長 下地恒毅

理事長ご挨拶

ヒトは誰でもそうだろうと思いますが、人生には転機といいますか、節々があります。そこでしばし立ち止まり自らの新しい進むべき道を模索するのではないでしょうか? 私にもそれはありました。十代の頃、そして二十代、三十代、そして大学を退官後です。個人的なことで恐縮ですが、私は特殊な事情から臨床医としての技術や知識を早く身に付けようと、学生時代からインターン時代にかけて外科病院に住み込み夜八時から翌朝八時まで外来、深夜の救急、往診、そして院長の仕事の関係で変死体の検死まで私一人に任されていました。その良し悪しは別として当時の社会は医師の卵と言う名目でそのようなことが許されていました。私の臨床医としての原点はそこにあり、いつでもそこに回帰するように思います。

大学退官後、縁あって私はロンドン大学客員教授としてテームズ川河畔にある同大学の付属病院であるガイ病院、セントトーマス病院に勤めておりましたが、その間、比較的自由な時間が持てたこともあり、英国の医療制度、医療事情について日本との比較などを勉強する機会に恵まれていました。

医療制度には国によって良し悪しがあります。日本の医療制度や英国の医療制度にはそれぞれ良し悪しがあります。その良し悪しを超えて、いつでも私の心に保持され考えの原点になっているなあ、と自ら反芻するのは上に述べた学生時代からインターンにかけて学んだ研修時代のの経験です。

医師の仕事は病気の診断と治療であることは当たり前ですが、それだけでは十分ではないのではないかと思い続けているのです。そうです病気の予防です。大学時代は専門医として働いてきましたが、退官後、私の脳裏に去来するのは学生、インターン時代の往診の経験です。往診によってこそ、その患者さんの病気の本質や原因により近づけるのではないか、という確信です。その患者さんの住まい、食事、環境、家族との関係などなどです。往診によってこそ患者さんの病気についての情報がより得られるのです。例えば唱えられて久しくなった生活習慣病や種々の心の病などです。このような個人的な体験から大学退官後今日までそのような思いに関連した仕事に携わってきました。

さらにその思いを発展させ、個々の患者さんを終生にかけて診ることを希求しています。その思いやコンセプトを「山椒会」としてまとめてあります(別頁)。本NPOの目的はそこに根ざしております。

今、世界中がコロナウイルス感染症で大変な時期を迎えていますが、個々人が自らの生活習慣にたち入って考え、医師も個々人の毎日の生活習慣の重要性を指導すればこのパンデミックもより早く抑えられると思います。

2021年新春 理事長 下地